リフォーム費用における減価償却とは? 福岡でリフォームをするなら知っておきたい事情をご紹介!
中古マンションをリノベーションすると、リノベーション費用が「資本的支出」とみなされ、減価償却の対象となることがあります。
今回は、中古物件の購入とリフォームやリノベーションを同時に行ったときの、減価償却の仕組みや計算方法について、注意点と合わせて解説します。
減価償却についての知識
▸ そもそも、減価償却とは?
そもそも減価償却とは、「資産は時間が経つにつれてその価値が減っていく」という考え方です。
少し金額の高い車やパソコン、応接セットなどを購入した時、その購入代金を、購入した年に一度に経費とするのではなく、分割して少しずつ計上するルールのことをいいます。
たとえば、250万円の車を買ったとします。
車は、長期間使っていくうちに徐々に価値が減り、最後には資産としての価値がなくなります。
そこで、この時「今年は車を購入したので、250万円かかりました」と、250万円すべてを経費とするのではなく「今年は50万、翌年に50万、翌々年に50万円…」というように、250万円を何年かで少しずつ経費にするというルールがあるのです。
これが減価償却になります。
住宅などの建物や資産は、年数の経過とともに価値が減少します。その価値の減少分を、その年度に発生した経費として、数年間かけて計上する会計の方法になります。
減価償却の対象となる資産は決まっており、建物をリノベーションした費用も減価償却の対象となることがあります。
減価償却とは、事業用に購入した資産のコストについて、法定耐用年数に応じて経費に算入すること。たとえば「法定耐用年数10年の資産を1000万円で購入」した場合、「減価償却費」という経費項目を使い、10年間にわたって100万円ずつ経費に算入していきます。
当然ながら、経費は利益と相殺されることになるので、経費が多ければ多いほど、その年度の税金は安くなる計算。法人であれば法人税や法人住民税などが安くなり、個人事業主であれば所得税や住民税などが安くなります。
なお経営者の中には、購入した資産の全額を同じ年度の経費に入れたいと考える人がいるかもしれません。予想よりも事業の利益が上がった場合などに、少しでも多くの経費を入れることができれば、その分、大きな節税効果を得られるからです。
しかしながら、法定耐用年数が設定されている資産を20万円以上で購入した場合、原則として、経費での一括計上はできません。基本的には法定耐用年数に応じた回数に分散して経費計上することになる点を理解しておきましょう。
▸ 減価償却ってなぜするの?
減価償却のそもそもの考えは、「年月が経つことによって劣化したり性能が落ちたりしてその価値が減っていく固定資産は毎年一定額や一定の割合で、分割して費用にしましょう」というものでした。それでは、減価償却はなぜ行うのでしょうか。
例えば、飲食店の事例で考えてみましょう。
飲食店が新しい機材を1000万円で購入したとします。それを減価償却しなかったら、どうなるでしょうか。1000万円をそのまま経費としたら、それまで毎年黒字だったのに赤字になってしまうかもしれません。赤字になれば、銀行からの融資を打ち切られてしまう可能性があります。
そこで、1000万円の機材を減価償却して少しずつ購入代金を経費としていくことで、毎年の利益が正確に表されるようになります。
▸ 減価償却の法定耐用年数
減価償却を行うために欠かせないのが、「資産の法定耐用年数」になります。
法定耐用年数とは、資産ごとに設定された減価償却の期間のことで、資産の種類や用途ごとに細かく設定されています。
「耐用年数」とは、資産を使用できる期間として国が定めた年数のことです。減価償却費を計算する時、この耐用年数が金額を決めるポイントになります。
耐用年数は建物の構造によって異なります。
住宅用の場合、「鉄筋コンクリート造は47年・木造や合成樹脂造は22年・木骨モルタル造は20年」です。
あるいは、木造の建物でも、事務所用建物の法定耐用年数は24年ですが、店舗や住宅用は22年、旅館やホテルは17年と、建物の用途によっても異なります。
ほかの工法についても詳しく定められているので、詳しくは国税庁のホームページを参考にしてください。
尚、建物のリフォームを行った場合、耐用年数が変化する可能性があるので注意が必要になります。傷の補修やクロスの張り替えといった、小規模な修繕であれば減価償却の必要はありません。
しかし、増改築や大幅なリノベーション、スケルトンリフォームなど建物の価値が高くなる大規模リフォームを行う場合は、新築同様の耐用年数で新たに減価償却を行う必要があります。
例えば、築30年の鉄筋コンクリート造りの建物をフルリフォームした場合、リフォーム費用は残りの17年で減価償却するのではなく、新築と同じ47年で行います。
リノベーション費用の減価償却が必要なケース
傷の補修や表面の汚れ除去など、簡単なリフォームの費用は「修繕費」として経費処理されますので、減価償却を行う必要はありません。
しかし、リノベーションやスケルトンリフォームは建物を再生し、価値を高めるリフォームです。そのため、リノベーション費用は修繕費ではなく「資本的支出」とみなされることがあります。
また、傷の修復や清掃を目的として行われたリフォーム費用でも、工事の規模や金額によっては資本的支出に該当するケースもあるため、注意が必要です。
資本的支出とみなされたリノベーション費用やリフォーム費用は、資産の一部とみなされますので、減価償却を行わなければなりません。
▸ 修繕費と資本的支出の見分け方
リノベーション費用が、「修繕費」となるか「資本的支出」となるかは、それぞれ以下のポイントで判断することができます。
それぞれの判別方法には厳密な定義がありませんので、リノベーションを行う前に税理士と、工事内容をよく相談しておくことをおすすめします。
| 修繕費となるリノベーションの例
・工事費用が20万円未満のもの
・原状回復のために行われたもの
・工事費用が20万円を超えているが、3年以内に定期的に行っているもの
・災害で被害を受けた箇所の修復のために行われたもの
| 資本的支出となるリノベーション
・工事費用が20万円を超えるもの
・元の状態より価値を高めたもの
・販促を目的とした改装や増築、設備の追加など
・災害に備えて設備を強化・追加した場合など
資本的支出の基準は上記の「費用が20万円以上か」「資産の価値や耐久性が明らかに増す修繕か」などです。費用が20万円以上でも、維持管理のために行った屋根・外壁塗装、退去時のリフォーム費用の負担分などは、修繕費扱いとなる場合もあるので注意しましょう。
資本的支出となるのは、「建物の増改築」「非常階段の設置など、建物に追加で設備を取り付ける施工」「用途変更のための内装リフォーム・間取り変更」「グレードの高い設備を導入するリフォーム」などです。
リノベーション費用の減価償却の計算方法
減価償却には、「定額法」と「定率法」の二種類の計算方法があります。
資産の種類ごとに使える計算方法は決まっており、建物と建物附属設備のリノベーション費用は、「定額法」で計算することになっています。
| 定額法
定額法の計算式:リノベーション費用×定額法の償却率
償却率は、法定耐用年数がわかっていれば、国税庁のホームページで確認することができます。
例えば、鉄筋コンクリート造りの建物を100万円で外壁塗装したとしましょう。鉄筋コンクリートの耐用年数47年では償却率0.022と定められています。
定額法の計算式に当てはめると、
100万円×0.022=22,000円
となり、この外壁塗装のリノベーション費用は、年間22,000円ずつ減価償却費として計上することになります。
| 定率法
定率法の計算式:(リフォーム費用-償却累計額)×定率法の耐用年数に応じた償却率
定率法とは、毎年同じ金額を償却するのではなく、年を経るごとに少しずつ償却費が減少していく計算方法です。トイレやキッチン、照明、エアコンの設備交換など、建物付随設備のリフォームは定率法でも計算できます。
例えば、100万円でトイレの設備交換を行った場合、耐用年数15年なので償却率は0.133です。償却年が1年目だとすると、(100万円-0)×0.133=133,000円となります。
▸ 「定額法」&「定率法」の違い
建物付随部分のリフォームでは、定額法と定率法のどちらか好きな方法で減価償却できます。基本的な概念として、「定額法」では毎年同じ額の経費を計上しますが、「定率法」は1年目に最も多い経費を計上し、だんだん償却費が下がっていきます。
例えば、上記で挙げたトイレの事例でいうと、
100万円でトイレのリフォームを行った場合
・定額法=毎年の計上額は67,000円
・定率法=1年目が133,000円、2年目が115,311円と徐々に償却率が減少します。
経費はまとめて大きな金額を計上するよりも、分散させたほうが節税効果は高いと言われています。
定額法では経費を分散して計上できるため、高い税率の時に経費を使える可能性が高くなります。そのためトータルで見ると、定額法のほうが手元に多くの資金が残りやすい場合もあります。ただし定額法は、資金を改修するのに時間がかかるデメリットもあります。
一方、定率法は1年目に高い金額を経費計上可能なため、手元に早くお金が戻ってきます。「資金繰りのために早く経費を手元に戻したい」「資金繰りのためにお金が必要」などの場合は、資金面を考慮する場合は定率法がオススメです。
それぞれにメリットやデメリットがあるので、よく調べ、身近に税理士さんがいればよく相談されてから決めるといいでしょう。
まとめ
さて今回の記事では、「減価償却」について掘り下げてご紹介してきました。
減価償却に関しては、税理士さんが専門とし得意とする分野になるので、工務店やリフォーム会社も詳細まではわからないケースが多々あります。
ご自身で調べることはもちろん、身近に税理士さんが居ればよく相談されることをおすすめします。
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