リノベーションで抜けない柱とは?見分け方や抜けない柱を活用する方法を紹介!
リノベーションを前提に中古物件を購入した際に、間取り変更の計画が思うように進まない場合があります。
その原因の一つが「抜けない柱」の存在です。
しかし、抜けない柱は単なる制約ではなく、デザインや空間活用次第で魅力的な要素にもなります。
本記事では、抜けない柱の見分け方や活用方法を解説し、リノベーションの可能性を広げるアイデアをご紹介します。
住宅には抜ける柱と抜けない柱がある

住宅の柱には「抜ける柱」と「抜けない柱」があり、リノベーションやリフォームでの間取り変更で制限がかかる場合があります。
そのため、抜ける柱と抜けない柱の特徴を正しく理解しておくことが、計画をスムーズに進めるために重要です。
特に木造軸組工法(在来工法)では、柱の種類によって対応が異なるため、適切な判断が求められます。
以下では、抜ける柱と抜けない柱の特徴を詳しく解説します。
抜ける柱の特徴
抜ける柱は、建物の構造を支える主要な柱ではなく、補助的な役割を果たしている場合が多いです。
木造軸組工法の住宅において、以下のような柱が抜ける柱に該当します。
【管柱の一部】
管柱は、柱や桁で階ごとに分断されている柱です。
管柱の中には、補強を施すことで抜くことが可能な柱もあります。
例えば、梁や桁を追加して建物全体の強度を確保すれば、特定の管柱を撤去できます。
【間柱】
間柱は壁の下地材として使用され、建物の主要な構造を支える役割はありません。
そのため、多くの間柱は抜くことが可能です。
ただし、筋交いや構造用合板が使用されている壁では注意が必要です。
筋交いがある場合、間柱を抜いても筋交いは撤去できず、構造用合板が貼られている壁では別の補強手段が必要になることがあります。
ただし、これらの柱を抜く場合は、建物の耐震性や安全性を考慮した設計が不可欠です。
抜けない柱の特徴
抜けない柱は、建物の構造を支えるために重要な役割を果たしている柱です。
以下のような柱は抜けないため、注意しましょう。
【通し柱】
通し柱は、土台から軒まで建物全体を貫く柱で、四隅やその他の重要な位置に設けられています。
これらの柱は建物の耐震性や強度を確保するために欠かせない存在であり、リノベーションで撤去することはできません。
特に通し柱には、120ミリ角や135ミリ角といった太いサイズの柱が使用されており、建物全体の安定性を支える要です。
【管柱】
管柱は、床や壁を支える構造部材であり、基本的には撤去が難しい柱です。
105ミリ角から120ミリ角のサイズが一般的で、建物の強度や耐久性に直結します。
一部の管柱は梁や桁で補強すれば抜ける場合もありますが、それはあくまで例外的なケースです。
通し柱や管柱を無理に撤去しようとすると、建物全体の安全性が損なわれるリスクがあります。
そのため、リノベーションの際には専門家による十分な検討と判断が必要です。
柱以外に壁や梁も抜けない場合がある
部屋を広くしたい、間取りを変えたいと思った時、真っ先に思い浮かぶのが壁の撤去かもしれません。
しかし、柱だけでなく、壁や梁も簡単に撤去できるわけではありません。
特に、壁式構造のマンションや、2×4工法の戸建て住宅では、構造を支える壁があるため、むやみに撤去することはできません。
また、ラーメン構造のマンションでは、梁が建物の強度を保つ役割を果たしているため、撤去が難しいケースもあります。
間取り変更を考える際は、まずは専門家に相談し、構造上の制約を確認することが大切です。
抜けない柱の見分け方

中古物件を購入してリフォームを行う際、特に間取り変更を検討している場合は、柱の構造的な役割を正確に理解することが重要です。
抜ける柱と抜けない柱を把握していないと、計画したリフォームが実現できない可能性があります。
抜けない柱を見分けるためには、まず竣工図を確認しましょう。
木造建築の場合
戸建てなどの木造軸組工法では、構造図を見ると柱に「×」や「○」などの記号が記されています。
通し柱は「○」で囲まれ、管柱は「×」で記されているため、抜けない柱であることを確認できます。
一方、構造上の重要度が高くない間柱は、「/」で記されているため、基本的にリノベーションやリフォームで抜いてしまっても問題ないでしょう。
ただし、木造建築では図面だけで柱の撤去可否を判断するのは難しいことが多く、壁量計算などの詳細な構造計算が必要になるため、専門家の判断に従ってください。
マンションの場合
RC造やSRC造のマンションでは、図面に描かれたコンクリート躯体が重要な手がかりです。
図面上でコンクリートの柱や壁は、斜めの三本線で示されていることが多く、これらは建物全体を支える役割を持つため、撤去が不可能です。
また、低層マンションで壁式構造が採用されている場合には、専有部分内にも躯体が含まれるケースがあり、注意が必要です。
抜けない柱を活用する4つの方法

抜けない柱があったとしても、上手に活用することで個性的でおしゃれな部屋を作ることができます。
これから紹介する抜けない柱を活用する4つの方法をぜひ参考にしてください。
活用方法①柱を装飾して部屋のアクセントにする
取り除けない柱は、あえて装飾を加えて「見せる柱」として空間のアクセントにする方法があります。
柱にペイントや壁紙を施して他の部分と色を変えたり、タイルを貼ることでおしゃれな印象を作れます。
例えば、白で統一された空間に黒く塗装した柱を配置すると、シックでモダンな雰囲気が演出できるのでおすすめです。
活用方法②柱を活かした造作家具を設置する
柱が単独で目立つ場合、その柱を活用して造作家具を取り入れることも一つの案です。
例えば、柱の間に棚を設けると、デッドスペースを有効活用できます。
そして、観葉植物や本、アートオブジェなどを飾ると、空間のインテリア性が高まります。
また、部屋の中央にある柱を活用して収納棚を設置すれば、空間をゆるやかにゾーニングすることも可能です。
活用方法③キャットタワーやキャットウォークとして活用する
ペットとして猫を飼っている家庭では、柱を利用してキャットタワーやキャットウォークを取り入れることもおすすめです。
猫が自由に上下運動できるスペースを作ることで、ストレス軽減や運動不足の解消につながります。
特に造作のキャットタワーは、市販品よりも安定性が高く、デザインの自由度も高いのが魅力です。
活用方法④柱と筋違いを残して抜け感を演出する
木造軸組工法では、筋交いを取り除けない場合がありますが、壁を残すよりも柱や筋交いだけを残すことで、視界が抜けて広々とした印象を生み出せます。
柱や筋交いを周囲のインテリアと同じ色で仕上げて統一感を出す方法もあれば、あえて鮮やかな色にしてアクセントにする方法も効果的です。
また、既存の柱に追加の柱を並べてパーティション風の間仕切りを作ることで、機能性とデザイン性を兼ね備えた空間に仕上げることができます。
まとめ
リノベーションを計画する際、抜けない柱の存在が間取り変更の障害になることがあります。
しかし、抜けない柱を工夫して活用すれば、制約を逆手に取り、おしゃれで機能的な空間を作ることが可能です。
柱を装飾して空間のアクセントにしたり、造作家具やキャットタワーに活用する方法は、デザイン性を高めるアイデアとして注目されています。
また、柱や筋交いを残して開放感を演出する方法も効果的です。専門家の知識を活かし、柱を魅力的な要素に変えるリノベーションを実現しましょう。