用途変更を伴うリノベーションの注意点は?確認申請が必要なケースや手続きの流れを紹介!
近年、購入した建物をリノベーションすることで他の用途に変更する事例が増えています。
しかし、建築物の用途を変更する場合は、変更後の用途や工事の規模によって確認申請が必要です。
そこで本記事では、用途変更を伴うリノベーションの注意点や確認申請が必要なケース、手続きの流れについて紹介します。
用途変更リノベーションを検討している方は参考にしてください。
用途変更を伴うリノベーションとは?
用途変更を伴うリノベーションとは、建物の元々の使用目的を別の用途に変更するために行う改修工事のことです。
例えば、住宅を飲食店や老人ホームへ、工場を物販店舗に変えるケースが該当します。
また、用途変更を伴うリノベーションを行う際には、自治体や消防、保健所などの確認手続きも必要です。
さらに、新しい用途に適した設備や構造に改修しなければならないため、計画や工事内容も慎重に決めましょう。
確認申請が必要な用途変更リノベーションのケース
以下のケースに該当する用途変更リノベーションは、確認申請が必要です。
・リノベーション後の建物が特殊建築物に該当するケース
・建築基準法施行令第137条が定める類似用途の範囲に該当しないケース
・用途変更する面積が100㎡を超えるケース
それぞれについて詳しく解説します。
リノベーション後の建物が特殊建築物に該当するケース
リノベーション後の建物が特殊建築物に該当するケースは、確認申請が必要です。
特殊建築物は、建築基準法第二条第二項で以下のように定められています。
一 | 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの |
二 | 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの |
三 | 学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの |
四 | 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの |
五 | 倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの |
六 | 自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの |
用途変更後の建物が特殊建築物に該当するか事前に確認することが重要です。
また、住宅やオフィスは特殊建築物に該当しないため、住宅やオフィスに用途変更する場合は確認申請が原則不要です。
建築基準法施行令第137条の18が定める類似用途の範囲に該当しないケース
建築基準法施行令第137条の18では、確認申請が不要となる類似の用途を定めています。
同じ項目内の用途変更であれば確認申請が不要なため、元々どのような用途で使われていた建物なのか必ず確認しましょう。
一 | 劇場、映画館、演芸場 |
二 | 公会堂、集会場 |
三 | 診療所(患者の収容施設のあるものに限る)、児童福祉施設等 |
四 | ホテル、旅館 |
五 | 下宿、寄宿舎 |
六 | 博物館、美術館、図書館 |
七 | 体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場 |
八 | 百貨店、マーケット、その他の物販店舗 |
九 | キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー |
十 | 待合、料理店 |
十一 | 映画スタジオ、テレビスタジオ |
違う項目の用途へ変更する場合は、確認申請をしなければなりません。
また、指定用途地域の場合は、同じ項目内の用途に変更した場合も確認申請が必要となるケースもあるため、注意が必要です。
用途変更する面積が200㎡を超えるケース
用途変更を伴うリノベーションの面積が200㎡を超える場合は確認申請をしなければなりません。
例えば、1フロア150㎡の2階建て事務所があり、1階部分のみを飲食店に用途変更した場合は、面積が200㎡以下のため確認申請は不要です。
しかし、1階と2階の両方を用途変更する場合は、合計で300㎡となるため確認申請が必要です。
用途変更リノベーションのメリット
ここからは用途変更リノベーションのメリットを3つ紹介します。
資産価値の向上
用途変更リノベーションを行うことで、建物の資産価値を向上させることができます。
例えば、老朽化した住宅を店舗や事務所に改装すれば、商業的な価値が高まり、新たな収益源を生み出す可能性があります。
特に、立地条件や周辺環境が商業施設やサービス業に適している場合、リノベーションを通じて有効に活用することができ、投資としても有益です。
新たな収益機会の創出
用途変更リノベーションにより、従来の用途では得られなかった収益を生むことが可能です。
例えば、住宅を賃貸事業や飲食店に変えることで、新たなビジネスを展開するチャンスが生まれます。
また、空き家や使われていない建物を活用することで、遊休資産の有効活用にもつながり、地域経済にも貢献できます。
法規制に合わせた安全性の向上
用途変更リノベーションを行う際は、新しい用途に応じた法規制や建築基準を満たす必要があります。
これにより、建物の耐震性や防火性、設備の安全性が向上し、より安全で安心な空間を提供できます。
特に、人が多く集まる店舗や施設に用途変更する場合、安全基準を強化するためにリノベーションを行いましょう。
用途変更リノベーションの流れ
用途変更リノベーションの主な流れは次のとおりです。
設計と調査
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確認申請書の作成と提出
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審査と建築許可の取得
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施工
それぞれの工程について詳しく解説していきます。
設計と調査
用途変更リノベーションの第一段階では、建物の現状を詳しく調査し、新しい用途に適した設計を行います。
建物の調査では、構造や法規制の確認、安全性や耐震性なども評価しなければならないため、資格を保有する専門家に依頼することをおすすめします。
また、調査が完了したら、結果をもとに新しい用途に合わせて間取りや設備の変更も検討し、設計図の作成を建築士に依頼してください。
確認申請書の作成と提出
設計と調査が完了した後は確認申請書の作成を行います。
確認申請書は、新しい用途に対応した設計が建築基準法やその他の関連法規に適合しているかを確認するための書類です。
申請書には設計図面や構造計算書、必要な技術資料が含まれ、市区町村の役所や指定確認検査機関に提出します。
確認申請書の作成はリノベーション会社や建築事務所が行うため、施主は完成した書類を忘れずに提出しましょう。
審査と建築許可の取得
提出された確認申請書を役所や指定確認機関が審査します。
審査では、設計が建築基準法やその他の法令に適合しているかどうかが確認され、不備があれば指摘を受け、修正が必要です。
無事に審査を通過すると、建築許可が発行され、次の施工段階へ進むことが可能になります。
施工
建築許可を取得したら、リノベーション工事が正式に開始され、用途変更に伴う内部構造の変更や必要な設備の設置・改修が行われます。
工事中は設計図に基づき、現場での進捗管理や安全対策を徹底し、予定通りに工事が進行するように施工会社が管理します。
まとめ
倉庫をカフェにしたり、オフィスを物品販売店に変えたり、用途変更リノベーションを行うことで既存の建物に新しい価値を生み出すことができます。
また、リノベーションして住まいを作ろうと考えている方にとっても、選択肢が広がるため、理想の物件を見つけやすいメリットがあります。
ただし、用途変更を伴うリノベーションを行う際は、建築確認申請の許可を受けなければならないケースがあるため注意が必要です。
用途変更リノベーションを検討している方は、本記事を参考に実績のある会社に相談をしましょう。