家の建て替えよりも基礎補強が選ばれる理由は?布基礎をベタ基礎にリフォームする方法について解説
地震大国の日本において、住宅の基礎は建物や家族を守るために重要な役割を果たします。
しかし、老朽化により腐食が進んでいたり、白アリによる被害が発生していたり、築年数が経つにつれて住宅の基礎には様々な問題が起こります。
そのため、古い家に住んでいる方は住宅の基礎補強工事がおすすめです。
住宅の基礎補強工事は、既存の建物を全て解体して新築への建て替えが必要というイメージがありますが、建物を解体せずにリフォームだけで行えます。
そこで今回は、家の建て替えよりも基礎補強が選ばれる理由や布基礎をベタ基礎にリフォームする方法について解説します。
基礎リフォームが選ばれる3つの理由
まずは、家の建て替えではなく、基礎リフォームが選ばれる3つの理由について紹介します。
理由①布基礎からベタ基礎へ主流が変化
一戸建ての基礎構造は、布基礎とベタ基礎の2種類に分けられます。
布基礎はTの字を逆さまにした形のコンクリートが建物を「点」で支える構造のことです。
一方、ベタ基礎は鉄筋入りのコンクリートが全体に敷き詰められ、「面」で建物を支える構造です。
2000年以前に建てられた住宅の多くは布基礎構造でしたが、地震や大規模な工事が原因で地盤が弱くなり、基礎が沈下して住宅が傾く「不同沈下」を引き起こすケースが増えたことで、現在はベタ基礎が主流となっています。
そのため、家を建て替える予定はないものの、古くなった住まいの安全性を高めるために布基礎からベタ基礎に変更したいという人が基礎リフォームを行っています。
理由②経年劣化による耐震性の低下
鉄筋コンクリート造の頑丈な建物も耐用年数は47年とされており、年数が経つにつれて劣化していきます。
特にコンクリートの中に入っている鉄筋は、空気や雨水にさらされることで錆びていき、膨張することで外側のコンクリートに亀裂を生じさせてしまいます。
また、建物を建てる際は一定の耐震基準を超えていなければなりませんが、1981年まで施行されていた旧耐震基準では震度6強以上の大きな地震に耐えられない可能性があるので注意が必要です。
このような背景から、古くなった建物は耐震性の低下が心配され、基礎リフォームを行う事例が増えています。
理由③建て替えのデメリットを回避
新築の家を建てるには多額の費用がかかるだけでなく、住み慣れた家を全て解体しなければならないというデメリットもあります。
また、建築基準法の改正により容積率や建ぺい率の制限が変わっている可能性も考えられるので、以前と全く同じ間取りの建物を建てようと思っても建てられないかもしれません。
このような新築のデメリットを回避するための手段として、既存の家の基礎部分のみをリフォームする方法が注目されています。
布基礎をベタ基礎にリフォームする費用
布基礎をベタ基礎にリフォームする費用は150万円が相場ですが、床を解体するかしないかによって、施工費用や仕上がりの品質が大きく変わります。
床を解体せずに布基礎をベタ基礎に変更する場合は、作業員が点検口から床下に入り、人力で作業を行います。
コンクリートを流し込んだ箇所から順番にコテで表面を押さえつけて仕上げるのですが、狭いスペースで作業を行うためコンクリートの表面を完全に平らに整えるのは難しく、仕上がりには凹凸が見られることも珍しくありません。
一方で床を解体する場合は、ポンプ車でコンクリートを流し込み、広いスペースでならし作業を行えるため、表面はキレイに仕上げられます。
ただし、床を解体するための費用や機材の使用料が追加でかかるため、総額は高くなります。
どちらも基礎の構造自体は同じなので、仕上がりと費用を比較して決めると良いでしょう。
布基礎からベタ基礎へリフォームする際の流れ
布基礎からベタ基礎へ変更するリフォームの工期は、施工箇所の広さによって前後しますが2日〜4日程度です。
また、布基礎からベタ基礎へリフォームする際の一般的な流れは次のとおりです。
既存布基礎の状態確認
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残土鋤取り
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砕石
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転圧
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防湿シートの敷き詰め
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メッシュ筋の設置
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既存基礎との一体化
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コンクリートの打ち込み
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ベタ基礎変更完了
それぞれの工程について詳しく解説します。
Step.1 既存布基礎の状態確認
まず初めに、既存の布基礎の状態を確認します。
この段階では、基礎の劣化やひび割れ、沈下などの問題をチェックし、リフォームが必要な箇所を特定します。
基礎の状態によっては、補強が必要な場合もあるため、専門家による詳細な検査が重要です。
Step.2 残土鋤取り
布基礎からベタ基礎へ変更する際に、基礎全体を支えるための平坦な地盤を準備するために、基礎の周囲や内部の土を除去します。
必要な深さまで掘削し、残土を取り除くことで次の工程に備えます。
Step.3 砕石
残土鋤取りを行なった後は、掘削した箇所に砕石を敷き詰めます。
砕石は基礎の下に敷くことで地盤の安定性を高め、排水性を向上させる役割を果たします。
この段階で砕石が均一に敷き詰められていないと次の工程に支障が出てしまうため、慎重な調整が必要です。
Step.4 転圧
敷き詰めた砕石を転圧機でしっかりと固めます。
転圧を行うことで砕石がしっかりと密着し、基礎の下地が安定するため、後の基礎の耐久性を向上させるために重要な工程です。
Step.5 防湿シートの敷き詰め
転圧が完了したら、その上に防湿シートを敷き詰めます。
防湿シートには地面からの湿気を遮断し、コンクリート基礎が湿気によって劣化するのを防ぐ役割があります。
防湿効果が最大限に発揮されるように、シートを隙間なく敷くことが重要です。
Step.6 メッシュ筋の設置
基礎の強度を高めるためにメッシュ筋を設置します。
メッシュ筋は、コンクリート内に組み込まれることで基礎全体の引っ張り強度を向上させ、ひび割れを防ぐ役割を果たします。
この工程では、メッシュ筋が正しく配置されていることを確認することが重要です。
Step.7 既存基礎との一体化
新たに施工されるベタ基礎と既存の布基礎を一体化させ、全体の強度を向上させます。
この作業では、基礎同士をしっかりと接合させるために、アンカーボルトや接着剤を使用します。
Step.8 コンクリートの打ち込み
基礎の準備が整ったら、コンクリートを打ち込みます。
コンクリートを均一に流し込むことが重要なため、振動機を使用して空気を入れずにしっかりと固めます。
また、打ち込み後はコンクリートが十分に乾燥するまで養生を貼り、コンクリートに不純物が入り込むのを防ぎましょう。
Step.9 ベタ基礎変更完了
コンクリートが十分に硬化したら、仕上がりを確認して必要に応じて修正や補強を行います。
この工程が完了すれば布基礎からベタ基礎へのリフォームは終了し、新たな強固な基礎が完成します。
まとめ
鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数は47年とされているため、築40年以上の建物は基礎リフォームを検討した方が良いでしょう。
また、築年数の古い住まいの基礎は、経年劣化によってひび割れが起きていたり、白アリの被害を受けているかもしれません。
劣化した基礎を放置していると建物が傾いたり、大きな地震が発生した際に倒壊してしまう恐れがあるので注意が必要です。
そして、2000年以前に建てられた住宅の基礎の多くは布基礎と呼ばれる構造でしたが、近年はコンクリートを全面に敷いて建物を支えるベタ基礎が主流となっています。
布基礎と比べてベタ基礎は耐震性にも優れているため、基礎リフォームを行う方はこの機会にベタ基礎へと変更してはいかがでしょうか。