マンション リノベーションの間取り変更で水回りはどのくらい移動できる?リノベ事例をもとに費用相場を紹介
マンションのリノベーションで間取り変更する場合、水回りの位置は最初に検討すべきポイントです。
住まいの中であればどこにでも水回りを配置できると考えている方も多いでしょう。
しかし、マンションの構造や管理規約によっては、自由に移動させることができない可能性があります。
そこで今回は、マンションの間取り変更で水回りをどのくらい移動できるのか詳しく解説します。
また、水回りのリノベ事例をもとに費用相場を紹介するので、マンションのフルリノベーションを考えている方は参考にしてください。
水回りの間取り変更でどのくらい移動できる?
マンションリノベーションでキッチンや浴室、トイレ、洗面所は移動させることができます。
ただし、水回りの間取り変更にはいくつもの条件があり、全てをクリアしなければなりません。
例えば、壁付きキッチンを独立型のアイランドキッチンに変更する場合、給水管や排水管の位置を大幅に移動させる必要があります。
そのため、リノベーション会社に相談し、どの程度間取り変更することができるか確認しましょう。
水回りの間取り変更で確認しておくべき5つの注意点
前述したように、水回りを間取り変更するにはいくつもの条件をクリアしなければなりません。
ここでは、水回りの間取り変更で確認しておくべき以下の注意点について解説します。
・管理規約による制限がないか?
・床スラブ上配管か床スラブ下配管なのか?
・配管は劣化していないか?
・排水勾配を確保できるか?
・換気ダクトは移動できるか?
管理規約による制限がないか?
マンションは専有部分と共用部分に分けられ、共用部分は管理規約によって個人による改装を禁止しています。
例えば、システムキッチンやユニットバスなどの設備や室内に配置された配管は専有部分ですが、各部屋に水を取り込む排水口は共用部分です。
そのため、水回りをリノベーションする際は、共用部分の工事が必要であるかを確かめる必要があります。
そして、共用部分を勝手に工事してしまうと違反となってしまうため、事前に管理規約を確認してください。
床スラブ上配管か床スラブ下配管なのか?
マンションの配管方式には、「床スラブ上配管」と「床スラブ下配管」の2種類があります。
それぞれの配管方式の特徴は次のとおりです。
配管方式の種類 | 特徴 |
床スラブ上配管 | 大元の排水管までの横引き配管が床構造体の上を通っている |
床スラブ下配管 | 大元の排水管までの横引き配管が下階の天井裏を通っている |
建物の区分所有等に関する法律によると、横引きの排水管は専有部分として扱われるため、個人の判断でリノベーションすることができません。
一方で床スラブ下配管は、自由にリノベーションすることができますが、配管を床スラブに通すための貫通孔を開けられないため、難易度の高い工事が必要です。
管理組合から図面を借り、リノベーション会社に工事を行えるか確認してください。
配管は劣化していないか?
水回りをリノベーションする際に必ず確認しておくべきことが、配管の劣化状況です。
配管の耐用年数は材質によって異なりますが、築年数の古いマンションの配管はすでに劣化している可能性が高いです。
配管の材質 | 耐用年数 |
鉄管 | 15〜20年 |
鉛管 | 15〜20年 |
銅管 | 20〜25年 |
ステンレス管 | 30〜40年 |
硬質ポリ塩化ビニル管 | 20〜25年 |
架橋ポリエチレン管 | 30〜40年 |
ポリブデン管 | 30〜40年 |
配管の劣化は水漏れの原因となるだけでなく、サビが水に溶け込んで水質汚染を引き起こします。
水回りの設備を新しくしても配管が劣化していると快適な生活を送れないため、図面から配管の材質を確認して、長年メンテナンスされていない場合は交換を検討しましょう。
排水勾配を確保できるか?
配管内に適切な勾配がないと、詰まりや逆流を引き起こします。
建築基準法では、配管口径50mm以上で1/50以上、配管口径75mm以上で1/100以上の排水勾配を設けることを義務付けています。
勾配1/50の場合、配管の距離が1mであれば2cmの傾斜が必要です。
配管の距離が長くなるほど傾斜の高さが必要になるため、水回りの配置を大きく変える予定の方は、排水勾配を確保できるか確認してください。
換気ダクトは移動できるか?
キッチンを移動させる場合は給排水管だけでなく、換気ダクトを移動できるか確認する必要があります。
ダクトとは、室内の空気を屋外へ送り出す配管で、一般的にキッチンフードから外壁の穴まで天井裏を通すように配置されます。
ただし、キッチンの移動先によってはコンクリートの梁が邪魔をしてしまい、天井裏を通せない可能性があるので注意してください。
また、ダクトをあえて見せるようにすることで、無骨さが特徴のインダストリアルなテイストの住まいにデザインできます。
このようなアイディアをリノベーション会社は豊富に持っているため、打ち合わせを重ねながらプランを作りましょう。
水回りの間取り変更にかかる費用相場
マンションの水回りを間取り変更するのにかかる費用は、次の表を参考にしてください。
施工箇所 | 費用相場 |
キッチン | 40万〜90万円 |
浴室 | 70万〜100万円 |
トイレ | 30万〜50万円 |
洗面所 | 20万〜30万円 |
中古マンションを購入してリノベーションする予定の方は、すでに水回りの配置を変える必要のない物件を探すことで、費用を抑えることができます。
ここからは、施工箇所ごとの費用相場について詳しく解説します。
キッチン
キッチンを移動させる場合は、電気やガス、換気ダクトの工事が必要です。
一般的な壁付け型のキッチンは比較的安い費用で工事を行えますが、独立型やアイランドキッチンは費用が高額になる傾向にあります。
キッチンの移動だけであれば40万〜90万円が費用相場ですが、キッチンの設備を交換する場合は総額200万円程度を見込んでおきましょう。
浴室
浴室を移動させる場合は内装だけでなく、床下の基礎や防水処理も改めて行う必要があります。
そのため、リノベーション費用は100万円前後と水回りの中でも高額になる傾向です。
また、在来工法の浴室を移動させたり、排水勾配を高くしたりした場合はさらに費用がかかります。
トイレ
トイレを移動させるだけであれば30万〜60万円程度で行えることが多いです。
しかし、和式トイレから洋式トイレに変更する場合やタンクレストイレ用の手洗い場を設置する場合はさらに費用がかかります。
そして、トイレの内装に耐水性や耐汚性の高い素材を使用したり、トイレットペーパーなどの備品を収納するための棚を設置したい方は追加で10万円程度予算に余裕を持たせましょう。
洗面所
洗面所の移動にかかる費用は20万〜30万円が相場です。
ただし、戸建ての洗面所を1階から2階に移動させるには、排水管を延長しなければならないため、約10万円程高くなります。
さらに洗面台を新しく買い換える際は、移動先に収まるようにサイズを必ず確認してください。
サイズが合わない場合は拡張工事が必要なので注意しましょう。
まとめ
マンションの水回りは移動させることができ、場所を変えることで動線を繋げて、移動が楽になり、家事のしやすさや移動がが向上します。
そのため、フルリノベーションを考えている方は、水回りの間取り変更がおすすめです。
ただし、水回りの配置を変える場合は給排水管を移動させたり、延長したりする必要があり、高額な費用がかかる工事のため、リノベーション会社に相談して見積もりをもらいましょう。