日本家屋の魅力を活かした古民家リノベーション!費用相場・注意点・補助金について解説
昔ながらの日本家屋には現代の住宅にない趣があるため、古民家を購入してリノベーションする人が増えています。
しかし、新築住宅と比べると住みやすさや耐震性はどうなのか気になる人も多いでしょう。
そこで今回は古民家リノベーションのメリット・デメリットや費用相場、注意点について解説します。
古民家リノベーションを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
古民家リノベーションとは?
古民家には新築住宅にはない趣やレトロな雰囲気があり、日本家屋の魅力が詰まっています。
とはいえ、築何年以上の住宅を古民家とする定義は明確に存在しないため、築数十年の住宅から築100年以上の住宅までさまざまです。
古民家は築年数が経っていることで劣化している箇所は多いですが、リノベーションすることで快適な住まいに造り変えられます。
また、立地の良い物件が多いことも特徴の一つです。
古民家リノベーションの種類
古民家リノベーションの主な種類は次のとおりです。
・一般的なリノベーション
・半解体再生リノベーション
・全解体再生リノベーション
・移築再生リノベーション
一般的なリノベーション
古民家の一般的なリノベーションでは、水回りの設備を入れ替えたり、外壁や屋根を張り替えたり、床の補修を中心に行います。
目で見える劣化した部分を補修して快適に住めるようにするため、柱や梁などの構造部分はリノベーションしません。
一般的なリノベーションでは、古民家のレトロな雰囲気をそのまま残すことができるので、昔ながらの日本家屋に憧れている人におすすめです。
半解体再生リノベーション
壁や床、屋根を撤去し、柱や梁などの基礎部分も補修する工事を半解体再生リノベーションと言います。
古民家の魅力は残しながらも、耐震補強したい場合に用いられるリノベーション方法です。
土台が傾いていたり、床に凹凸があったりするなど、耐震性に影響があるような問題を改善することができるので、古民家の良さを残しながらも安全に住める古民家に変えることができます。
全解体再生リノベーション
全解体再生リノベーションでは、古民家を一度解体し、劣化していない建材は洗ってから再利用する施工方法です。
また、劣化している建材は新しい建材に交換します。
劣化している建材を全て取り除くことができ、再利用できる建材はそのまま使うため、比較的古民家の温もりは残せます。
また、基礎部分を耐震性の高い建材に変えられるため、他のリノベーション方法と比べると耐震性を高められるのが特徴です。
移築再生リノベーション
移築再生リノベーションとは、古民家を一度解体し、別の場所に建て直すリノベーション方法です。
移築再生リノベーションはさらに3つの種類に分けることができ、以下の一覧に特徴をまとめています。
移築再生リノベーションの種類 | 特徴 |
完全移築リノベーション | 古民家の建材をほとんど再利用する |
部分移築リノベーション | 古民家の建材と新しい建材を組み合わせて使う |
構造体移築リノベーション | 柱や梁などの構造部分のみを再利用する |
移築再生リノベーションは、自分の好きな土地に古民家を移せるメリットがありますが、土地の購入代金や運搬費がかかるため、費用が高額になる傾向にあります。
古民家リノベーションのメリット
ここからは古民家リノベーションのメリットを紹介します。
・日本家屋の魅力を活かした住まいづくりができる
・強度の強い素材が元から使われている
・固定資産税が軽減できる
メリット1.日本家屋の魅力を活かした住まいづくりができる
古民家リノベーションをすることで、昔ながらの日本家屋の魅力を最大限に活かした住まいづくりができます。
現代の住まいとは違い、柱や梁がむき出しになっていることも多く、自然素材を建材に使っているため、経年劣化による色味や質感の変化を楽しめます。
吹き抜けや土間、縁側といった日本家屋ならではの空間を残すのも良いでしょう。
メリット2.強度の強い素材が元から使われている
古民家の柱や梁には、ヒノキやケヤキなどの素材が使われています。
歴史的建造物にも使われている素材で、ヒノキは1,200年、ケヤキは800年経つまで強度が落ちないと言われています。
現在では入手困難な高級素材のため、そのような素材を再利用できることが古民家リノベーションのメリットです。
メリット3.固定資産税が軽減できる
古民家を購入してリノベーションすると、固定資産税を軽減できることもメリットの一つです。
固定資産税は住まいの築年数によって算出されます。
古民家を解体して新築住宅を建て直す選択肢もありますが、固定資産税が上がってしまうので注意が必要です。
古民家リノベーションのデメリット
ここからは古民家リノベーションのデメリットについて紹介します。
・耐震補強工事が必要なケースが多い
・断熱性が低いため工事が必要
・予想以上に費用がかかる可能性がある
デメリット1.耐震補強工事が必要なケースが多い
地震の多い日本では、古くから地震対策がされてきました。
例えば、あえて柱や梁の結合部分を変形させ、住宅全体にかかる地震の負荷を軽減するように造られています。
とはいえ、耐震基準は年々厳しくなり、耐震性の高い建材も現れています。
そのため、古民家リノベーションをする際は、インスペクション(住宅診断)を受け、建物の状態に合わせて耐震補強工事を行いましょう。
デメリット2.断熱性が低いため工事が必要
冷蔵庫が普及する前の住まいでは、あえて風通しを良くする造りになっています。
そのため、夏場は快適に生活できますが、冬場は寒く暖房効率も悪いため、一般的な現代の住宅と比べると光熱費が高くなるでしょう。
地域にもよりますが、現代の生活スタイルに合わせて断熱性を高める工事を行うことをおすすめします。
デメリット3.予想以上に費用がかかる可能性がある
見た目はキレイなまま残っている古民家も構造部分はひどく劣化している可能性があります。
そのため、着工してから追加工事が必要になり、予想以上にリノベーション費用がかかってしまうかもしれません。
古民家リノベーションを検討している方は、リノベーション会社に予算を伝え、余裕をもったプラン設計をしましょう。
古民家リノベーションにかかる費用
古民家リノベーションにかかる費用は次のとおりです。
施工内容 | 費用相場 |
耐震リノベーション | 25万〜150万円 |
断熱リノベーション | 4千〜3万円/㎡ |
外壁のリノベーション | 50万〜350万円 |
屋根のリノベーション | 20万〜250万円 |
水回り設備の交換 | キッチン:50万〜150万円
トイレ:20万〜50万円 浴室:50万〜150万円 洗面所:20万〜50万円 |
間取り変更 | 20万〜350万円 |
バリアフリー化リノベーション | 手すりの設置:5千〜15万円/箇所
段差の撤去:1万〜45万円/箇所 |
ただし、リノベーションにかかる費用は広さや使用する素材・設備のグレードによって大きく変動します。
リノベーションしたい箇所や施工内容に優先順位をつけて、予算に収まるようにプランを立てましょう。
古民家リノベーションで利用できる補助金制度
古民家リノベーションにかかる費用を少しでも抑えたい人は補助金制度を利用しましょう。
リノベーション時に利用できる主な補助金制度は以下のとおりです。
・省エネリノベーション
・バリアフリー化リノベーション
・耐震補強リノベーション
それぞれの補助金を利用するには条件があるため、各自治体のホームページなどで確認しましょう。
また、制度の予算が上限に達し次第終了となるため、利用を検討している人は早めに申請してください。
古民家をリノベーションする際の注意点
ここからは古民家をリノベーションする際の注意点を紹介します。
注意点1.耐震補強や断熱リノベーションが必要
古民家はレトロな雰囲気の住宅というメリットがある一方で、耐震性や断熱性など住宅性能が低いというデメリットがあります。
そのため、耐震補強工事や断熱リノベーションをしない場合、快適な暮らしを送れない可能性があります。
とはいえ、住宅性能を向上させるリノベーションは大規模な工事を伴い、費用が高額になるケースが多いので、一度リノベーション会社に見積もりをもらいましょう。
注意点2.工期が長くなる傾向にある
古民家が建てられた当時の図面がない場合、建物の調査を綿密に行ってから着工します。
また、基礎部分のリノベーションも行う場合は工期が長くなるため、一時的に生活する住まいを用意する必要があります。
注意点3.リノベーションしやすい物件を購入する
古民家を購入してリノベーションしようと考えている方は、リノベーションしやすい物件を選びましょう。
また、既存の建物をそのまま残したいという方は、劣化状態も確認する必要があります。
リノベーションがしづらい物件を購入してしまうと、希望通りのリノベーションができず、後悔してしまう可能性があります。
あらかじめリノベーション後の完成イメージを決めてから物件を選んでください。
まとめ
古民家を購入してリノベーションすれば、昔ながらの日本家屋のような趣のある住まいを実現できます。
また、現代のスタイルと掛け合わせて和モダンな住まいにするのも良いでしょう。
しかし、古民家は築年数が経っていることもあり、近年の住宅と比べると性能が劣る場合もあります。
見えない部分が劣化している可能性もあるので、リノベーション会社と相談しながら進めるようにしましょう。