築年数の経ったビルを一棟まるごとリノベーション!メリットや注意点を解説
高度経済成長期には多くのビルが建てられました。
しかし、現在は老朽化が進んでいるため、ビルの再生方法に注目が集まっています。
そこで今回は、築年数の経ったビルを一棟まるごとリノベーションするメリットや注意点について解説していきます。
ビルを所有している方、これから購入予定の方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
所有ビルを一棟まるごとリノベーションするメリット
現在ビルを所有している方は、一棟まるごとリノベーションすることで、以下のようなメリットがあります。
・ニーズに合わせたリノベーションで空室対策
・建て替えするよりも費用を抑えられる
・設備を一新してビルの寿命を伸ばせる
ニーズに合わせたリノベーションで空室対策
築年数が経ったビルのデザイン・間取り・設備は、時代のニーズから離れていってしまい、オフィスや店舗の入居率が下がってしまいます。
そのため、ビルをリノベーションすることで、ニーズの変化に対応する必要があります。
ニーズに合ったビルにつくり変えることで、入居率の回復、家賃の増額が期待できるでしょう。
建て替えするよりも費用を抑えられる
ビル一棟をリノベーションすることで、建て替える場合よりも費用を抑えられます。
築年数の古いビルを所有しているオーナーにとって、建て替えの費用は大きな悩みの一つです。
しかし、リノベーションなら、解体の手間がかからず、基礎部分をつくりなおす必要がないため、悩みの解決策となるでしょう。
設備を一新してビルの寿命を伸ばせる
設備の劣化はビルの寿命に大きく影響を与えます。
しかし、ビルを建て替える場合は、入居している人や店舗に出て行ってもらう必要があるでしょう。
一方リノベーションであれば、入居者がいる状態でも工事を行うことができ、ビル全体の寿命を伸ばせます。
鉄筋コンクリート造ビルの法定耐用年数は47年ですが、適切なメンテナンスを施せば100年以上も使い続けることが可能です。
参照:(参考)RC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例
中古ビルを購入してリノベーションするメリット
中古ビルを購入してリノベーションする場合は、新築ビルを購入するのと比べて次のようなメリットがあります。
・物件の選択肢が広がる
・経営課題が分かりやすい
・新築のビルよりも投資の回収スピードが早い
物件の選択肢が広がる
新築ビルは中古ビルと比べて数が少ないため、選択肢が限られてしまいます。
また人気の高いエリアにはすでにビルが建てられているため、新築ビルを見つけることはさらに難しいでしょう。
築年数が古くても人気の高いエリアにあるビルは、入居率が下がりづらく、収益を上げられます。
そのため、新築ビルだけでなく中古ビルを購入してリノベーションすることも選択肢の一つとして考えることをおすすめします。
経営課題が分かりやすい
ビルを購入する際は、収益を上げられる物件か判断するために、市場調査やビジネスプランの組み立てを念入りに行う必要があります。
中古ビルであればすでに入居率などのデータがあるため、課題を見つけやすいです。
そして、課題をリノベーションによって解決できれば、収益を上げることができるでしょう。
新築のビルよりも投資の回収スピードが早い
新築ビルを購入するよりも、中古ビルを一棟まるごとリノベーションした方が費用を抑えられる可能性があります。
投資金額が少なく、回収までの期間が短いことは、長期保有で資産価値が変動するリスクを避けることに繋がります。
また、投資金額を回収した後は、運用を継続したり、ビルを売却して利益を得たりと選択肢が広がるでしょう。
ビルを所有して運用したい方は、中古ビルのリノベーションをおすすめします。
ビル一棟をリノベーションする際の注意点
ビル一棟をまるごとリノベーションする際は以下のような点に注意しましょう。
・物件によってメンテナンス状況は異なる
・耐震補強工事が必要
・融資額が低い可能性がある
注意点1.物件によってメンテナンス状況は異なる
中古ビルは、入居していたオフィスや店舗、メンテナンス状況によって、劣化具合が異なります。
マンションの場合は、住民が修繕積立金を支払い、大規模修繕計画に沿ってメンテナンスするのが一般的です。
しかし、ビルでは所有者であるオーナーの判断で行われるため、定期的なメンテナンスがされていない可能性もあります。
劣化が進んでいるビルは通常よりもリノベーションに費用がかかってしまうため、中古ビルを購入する前にメンテナンス履歴を確認しましょう。
注意点2.耐震補強工事が必要
中古ビルは新築ビルと比べると耐震性が低い可能性があります。
建物は建築基準法によって定められた耐震基準に基づいて建設されなければなりません。
建築基準法は1981年に大幅な改正が行われ、改正以前の基準を旧耐震基準、改正後の基準を新耐震基準と言います。
旧耐震基準に基づいて建てられた築年数の古いビルは、大きな地震に耐えられず倒壊してしまう恐れがあるため、耐震補強工事を行いましょう。
注意点3.融資額が低い可能性がある
ビルの購入やリノベーションには多額な費用がかかるため、自己資金だけでなく金融機関から融資を受けて資金調達しようと考えている方も多いでしょう。
ローン審査の結果や融資額は、借主の収入などさまざまな要素で判断されます。
そして、返済が困難になった場合、ビルを売却して返済に充てるため、ビルの資産価値も審査に大きな影響を与えます。
中古ビルは新築ビルと比べて資産価値が低いため、審査が通りにくく融資額も低くなることを理解しておきましょう。
ビル一棟リノベーションで失敗しないためのポイント
ビル一棟リノベーションには大きな費用がかかるため、失敗してしまうと大きな損害となってしまうでしょう。
ビル一棟を丸ごとリノベーションしようと考えている方は、これから紹介するいくつかのポイントを押さえておきましょう。
建物調査を念入りに行う
購入予定のビル、所有するビルもリノベーションする前に建物を念入りに調査しましょう。
特に中古ビルを購入する場合は、どのような使われ方をしていたのか、メンテナンスは定期的に行われていたのか、必ず確認してください。
劣化状況によっては、リノベーション費用が高額になるため、見積もり前にインスペクションをしましょう。
ビル一棟リノベーションの実績がある会社に依頼する
ビルを建て替えるよりも、既存のビルを部分的に残してリノベーションする方が難易度が高く、技術や知識が求められます。
そのため、ビル一棟リノベーションの実績がある会社は限られ、大手の施工・設計会社であっても、失敗してしまうリスクがあることから断られてしまう可能性があります。
できるだけ実績のある会社を見つけて、相談してください。
まとめ
築年数の古いビルは劣化が進んでしまって解体するしかないと思っている方も多いでしょう。
しかし、鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数は47年のため、ある程度築年数が経っていたとしても、適切なメンテナンスを施すことでもう一度価値のあるビルに生まれ変わらせることができます。
また、新築ビルを購入するよりも、中古ビルを購入してリノベーションした方が費用を抑えられる可能性があります。
とはいえ、劣化状態によってはリノベーション費用が高額になってしまうだけでなく、耐震性に問題があれば大きな地震に耐えられません。
ビル一棟まるごとリノベーションした実績のある施工会社を見つけ、相談を重ねながら計画を進めるようにしましょう。